画像診断部では、令和5年4月より日本消化器がん検診学会交付の大腸CT検査技術施設認定を取得しました。本認定資格は、大腸がん検査における新しい精密検査方法としての位置づけを築くため、新時代の要請に応える大腸CT検査技師を育成する上で,エビデンスに基づいた標準的な大腸CT検査を実施する技術と知識を有していることを評価する新たな認定制度として発足したものです。令和5年4月現在、全国では100施設が取得しており、富山県においては当院のみが取得をしています。本認定の取得には、施設基準を満たすと共に、大腸CT検査技師認定取得者の在籍が必須であり、現在2名が技師認定を取得しています。
ここで、大腸CTについて簡単に説明します。大腸CT検査は、肛門から炭酸ガスを注入して、大腸を十分に膨らませてから、CT撮影を行います。癒着や腸が長いために内視鏡検査が難しい方でも、そうでない方と同じように検査が可能です。炭酸ガスを使う理由は、腸管からの吸収が早く、空気を注入した場合の100倍以上の早さで吸収されるためです。このため、検査直後の腹部の膨満感は、病院を出る頃にはほとんど消失します。大腸癌による狭窄や術後の癒着などにより、大腸全体の内視鏡検査が困難な症例に対しては、大腸CT検査は非常に有用で、内視鏡が到達しない部位の診断が可能となります。CT検査により得られた画像情報から、大腸内視鏡検査や注腸検査に類似した画像を作り出すことにより、大腸の形態的変化を画像化し、大腸癌や大腸ポリープ、大腸憩室などの様々な大腸疾患を診断することが出来ます。また、手術前の検査として、造影剤を使用することにより注腸類似画像に血管や骨などの画像を重ねた画像も作成することが出来る為、手術のシミュレーションなどの一助となっています。
当院では、大腸CTを年間約50件程度行っています。現在、多くの患者さんが苦手としている、多量の下剤を服用しなければならない前処置を見直し、減量した下剤と共に少量のバリウムを服用する「タギング」と呼ばれる前処置法を取り入れることを検討しています。これにより、患者さんの身体的負担を軽減し、検査の安全性と精度の向上を目指せると考えています。
今後も、画像診断部では検査全体の精度と安全性の向上、技師の知識・技術の向上を目指し、取り組んでいきます。