ピロリ除菌後胃がん
2011年度から2021年度の当センターにおける上部消化管内視鏡検診による胃がん発見数は毎年20例程度です(図1)。
図1
令和2年度(2020年度)に当センターで発見された胃がん件数は、コロナ禍で年間内視鏡件数が約700件減少したにもかかわらず27例(発見率0.59%)でした。年代別では70代以上が多く、性別では男性が女性の2倍以上でした。70代の発見率は1.1%、80代の発見率は2.0%ですので、70代は100人に1人、80代は50人に1人見つかったことになります(図2)。
図2
令和2年度に発見された胃がんの特徴として、ピロリ菌現感染が7例、既感染(除菌後)が17例、未感染が3例でした。慢性胃炎で除菌が適用となった2013年度の胃がんは現感染に多くみられましたが、既感染の胃がんが増えています。またピロリ未感染胃がんは市検診では2017年度に1例ありましたが、センターでは令和2年度に初めて3例見つかりました(図3)。
図3
除菌後胃がん17例を、除菌してから胃がんが発見されるまでの期間と萎縮度の関係をみてみると、全例open typeの萎縮で、76%が除菌後10年以内に見つかっており、特に5年以内に多いことがわかります。また、除菌後10年以降に見つかった例が4例あり、そのうち3例が80代でした。除菌時にすでに高度萎縮が指摘された方は特に内視鏡検診を続けることが大切であると考えられます。また、加齢自体ががん発症リスクとなるため、80代になっても内視鏡検診を続けることが望ましいと考えられます(図4)。
図4
当健康管理センターでは、新型コロナウイルス感染防止対策を講じ呼吸機能検査を実施しておりましたが、全国的に新規感染者が増加しているため、令和4年1月26日よりしばらくの間、呼吸機能検査を中止することを決定致しました。
再開時期につきましては、新規感染者数や政府の対応等を勘案し、決まり次第ご連絡させていただきます。
尚、ご不明な点がございましたら、滑川健康管理センターまでご連絡下さい。
滑川健康管理センター
お問い合わせ先:076-475-2254
前回、ご好評いただきました日帰り人間ドック新規受診者ご紹介キャンペーンを今年も実施します。
令和4年2月~4月のキャンペーン期間内に初めて日帰り人間ドックを受けられる方、また、紹介者の方に県下JA特産品セット5,000円相当を先着50名様にプレゼント致します。
申し込み方法
申し込み用紙
昨年は、新型コロナウイルス感染症に終始した年でしたが、一方で健診を定期的に受けることの重要性を再確認した年でもありました。
今年もウイズコロナの年になりそうですが、当センターは時代の変化に適応しながらも、健診本来の目的である病気の早期発見にとどまることなく、受診者様の健康寿命を延伸するための健診を目指し、今年も頑張っていきたいと思います。
今年に入ってオミクロン株の感染が日本国内でも拡大しはじめており、これからも新型コロナウイルス感染症に注意が必要ですが、皆様には健康に留意され、健やかな年になりますよう祈願しております。
滑川健康管理センター 所長
山本正和
FIB-4 indexの健診結果項目追加について
(健康診断で脂肪肝と言われたら)
2020年に日本消化器病学会と日本肝臓学会が合同で飲酒に関係のない脂肪肝に関するガイドライン(NAFLD/NASH診療ガイドライン2020)を発表しました。今回、これを参考に脂肪肝について解説し、来年から健康管理センターで導入するFIB-4 indexについて説明します。
<脂肪肝は怖い?>
以前、肝機能異常の人に飲酒歴などがない場合、「脂肪肝だからあまり心配はいりません」と話していた時代がありました。脂肪肝は、血液検査に加え、腹部超音波やCTスキャン検査などで診断しますが、アルコールと関係ない脂肪肝は、進行しないものと考えられていました。しかし、近年、飲酒と関係がない脂肪肝の中に病気が悪化し、肝硬変そして肝がんを発症するものがあることが分かりました。
<肝硬変・肝がんに進展する脂肪肝とは?>
脂肪肝は、肝臓に中性脂肪がたまった状態のことを言います。脂肪肝の中では飲酒によるアルコール性脂肪肝がよく知られていますが、アルコールとは関係のない非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD・ナッフルド)の存在が注目されています。NAFLDは、非アルコール性脂肪肝(NAFL・ナッフル)と非アルコール性脂肪肝炎 (NASH・ナッシュ)の2種類に分類されますが、NAFLは、ほとんど悪化せず良好な経過をたどります(以前の単純性脂肪肝)。一方、NASHは、進行性で肝硬変・肝がんになる可能性があることが明らかになりました。このように今まではアルコールに関係ない脂肪肝は、予後(病気の医学的な経過の見通し)が良好と考えられていましたが、肝硬変・肝がんになるものもあることが分かり、問題になっています。
<NAFLD/ NASHにかかっている人の割合、肝がんの発症は?>
わが国では、2009~2010年の調査でNAFLDの有病率(かかっている人の割合)は、29.7%(実に国民の約3人に一人が罹患)と推定され、大変多くの方がかかっており、増加傾向にある病気であることが判明しました(NASHについての調査はありませんが、NAFLDに平行して、増加しているものと予想されています)。NAFLDから肝がんになる率(肝発がん率)は、低率で1年間で1,000人あたり0.44人(0.44/1,000人・年)とされています。一方、NASHの肝発がん率は、1年間で1,000人あたり5.29人(5.29/1,000人・年)と考えられ、今までの脂肪肝のイメージとはかけ離れて高い値です。
<肝臓の線維化が重要! 線維化の指標としてのFIB-4 index>
NAFLD/NASH発病の最も重要な原因は肥満ですが、NAFLD/NASHの予後は、肝臓の線維化(硬くなること)に最も影響を受けます。そのため線維化の程度を正確に診断することが大切です。
肝臓の線維化を評価する方法として注目されているのが、FIB-4 indexなどのスコアリングシステム(いろいろな検査値などによる点数化)です。FIB-4 indexは、通常の健診項目を用いて算出するため特別の検査を追加する必要がありません。また肝臓の線維化が進んだ人を診断する能力(診断能)が高いと考えられています。
<FIB-4 indexが健診結果項目に追加されます>
NAFLD(ナッフルド)、NAFL(ナッフル)、NASH(ナッシュ)と似たアルファベットが出て、分かりにくいでしょうか?
いずれにしてもアルコールに関係ない脂肪肝の中には、悪化し、肝硬変・肝がんに進むものがあることを理解してください。
来年から滑川健康管理センターでは、FIB-4 indexを健診結果項目に追加し、腹部超音波検査で脂肪肝と判定された方に肝線維化のリスク評価をする予定です。この指標により少しでも肝硬変・肝がんの発症予防に寄与できれば幸いであると思っています。
当健康管理センターでは、富山県にまん延防止等重点措置が適用される事を受け、一時再開した呼吸機能検査を令和3年8月18日より中止しておりましたが、令和3年9月22日に同月27日より警戒レベルがステージ3からステージ2に引き下げられる事が決定したことを受け、令和3年10月1日より呼吸機能検査を再開させていただきます。
今後も、県内の新型コロナウイルスの感染状況やまん延防止等重点措置の再適用等により、急遽中止させていただくことがございます。何卒ご理解ご協力のほど、よろしくお願い致します。
尚、ご不明な点がございましたら、滑川健康管理センターまでご連絡下さい。
滑川健康管理センター
お問い合わせ先:076-475-2254
当健康管理センターでは、新型コロナウイルス感染防止対策を講じ呼吸機能検査を令和3年8月11日より再開しておりました。しかし、政府がまん延防止等重点措置を富山県にも追加適用する方針を固めた事を受け、令和3年8月18日よりしばらくの間、呼吸機能検査を中止することを決定致しました。再開時期につきましては、まん延防止等重点措置の解除時期等を勘案し、決まり次第お知らせ致します。
尚、ご不明な点がございましたら、滑川健康管理センターまでご連絡下さい。
滑川健康管理センター
お問い合わせ先:076-475-2254
当健康管理センターでは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため令和2年4月より呼吸機能検査を一時休止しておりましたが、この度下記のような新型コロナウイルス感染防止対策を講じ、呼吸機能検査を令和3年8月11日より再開することとなりました。
【呼吸機能検査:新型コロナウイルス感染防止対策】
①スパイロフィルタ999Mの使用
呼吸機能測定装置と被検者の間に接続し、被検者から排出される唾液や喀痰などの汚染微小滴を除去し装置の汚染を減らします。装置が汚染された場合でも被検者の呼気時にスパイロフィルタにて汚染を除去しますので、被検者への感染の危機を低減する効果があります。
※スパイロフィルタ999Mは被検者ごとに交換します。
②クリーンパーティション型空気清浄機の使用
HEPAフィルターを内蔵したクリーンパーティションタイプの空気清浄器を使用し空気を浄化したエリアで検査します。被検者の前面に“洗浄供給タイプ”、後面に“汚染除去タイプ”を設置し合わせて使用することで効果的に無塵・無菌空間をつくります。
③機器の洗浄と消毒
呼吸管やフローセンサーは使用後に必ず洗浄と消毒を実施します。
尚、ご不明な点がございましたら、滑川健康管理センターまでお問い合わせください。
お問い合わせ先:滑川健康管理センター
(076-475-2254)