2020年4月よりオプション検査に「BNP検査」が追加されました。
あなたの心臓は大丈夫ですか?
(BNP検査で心不全がひそんでいないか確かめよう)
厚生連滑川病院・健康管理センター所長
山本 正和
●心不全とはどんな病気?
2017年に学会が新しいガイドラインを作り、一般人向けに心不全の定義をあらたに決めました。それによると「心不全とは,心臓が悪いために,息切れやむくみが起こり,だんだん悪くなり,生命を縮める病気です」とされています。
●心不全は、身近で怖い病気
心不全の疫学・原因・予後をみると、心疾患は、死因別死亡総数の順位で悪性新生物(癌)に次ぎ2番目に多く、心疾患による死亡の中でも心不全はもっとも死亡数が多い病気です。心不全の原因はたくさんあり、その根本原因が心臓以外に存在する場合もあるので注意が必要です。そして入院している心不全患者の死亡率は約8%、心不全の悪化による再入院率は1年後で35%と心不全は再入院しやすい病気であることが分かっています。
以上のように心不全は、患者数が多く、心臓以外の病気でも発症し、予後がよくない病気です。
●心不全はどのように診断されるのでしょうか?
心不全を診断するために自覚症状,既往歴,家族歴,身体所見,心電図,胸部X線をまず調べます。それによって心不全が疑われる場合,次に行うべき検査は血中BNPの測定です。さらに心エコー図法などを行って診断していきます。BNPは、心臓から出るホルモンで,スクリーニングだけでなく診断,予後予測まで幅広く用いられている検査です。
●BNPを測定し、心不全の早期発見を!
国は2018年に脳卒中・循環器病を減らすため「脳卒中・循環器病対策基本法案」を成立させました。日本循環器学会でもシン・シン(心臓・身体)健康増進プロジェクトを推進し、心臓病の予防に取り組んでいます。心臓病の中でも心不全は、日本社会が高齢化するのに伴い患者が増えることは間違いなく、特に注意が必要な病気です。そのため心不全の予防・対策が課題となっています。
このような社会情勢の変化に対応するため滑川健康管理センターでは、今年度から健診のオプション検査としてBNP検査を追加し、心不全の早期発見に努めていきたいと思っています。
皆さんも今一度、ご自身の心臓を思い、心不全がひそんでいないか確かめるためにBNP検査を受けられませんか?
BNP検査を希望される方や何か分からないことがある方は、気軽に健診のスタッフにお申し出ください。
(参照)
厚生労働省ホームページ(平成30年人口動態統計月報年表の概要)
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai18/index.html)
日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン(急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年))