認知症について
昨年6月に認知症基本法が成立し、令和6年1月1日から施行されました。
認知症は、高齢化が進む我が国では、喫緊の課題です。「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、65歳以上の認知症患者数は2020年に約602万人、2025年には約675万人と5.4人に1人程度(有病率18.5%)が認知症になると予想されています(図1)。また認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)も約20%罹患していると報告されています。
(図1)
厚生労働省によれば認知症とは、「いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヵ月以上継続)を指します」としています。認知症は病名ではなく、そのような状態を言い、日常や社会生活に支障がない場合は認知症と診断されません。
認知症は、健常からMCIを経て認知症に移行します。MCIは認知症ではありませんが、認知症直前の状態です。図2に示すように年5~15%の方がMCIの状態から認知症に移行します。一方、健常に回復する方も年16~41%いると考えられています。しかしアルツハイマー病などで認知症の状態になってしまった場合、根本的にはMCIへ戻ることは現在の医療では困難であると考えられています。MCIから認知症に進まないようにするため種々の試みがなされており、MCIの状態を早期に診断し、健常に回復できるように対処することが重要です。
(図2)
参照:
内閣府「平成29年度版高齢社会白書」
認知症疾患診療ガイドライン2017
厚生連滑川健康管理センター
山本正和